活動アップデート

Travelforwardとして応援するツアー、第2弾が2019年5月25日(土)~26日(日)の日程で開催されました。今回の応援先は、「時間割のないバスツアー♨️足湯に浸かり海と山と動物たちとゆったり過ごす白浜の旅」。昨年12月の応援ツアー第一弾、「車椅子と杖で行くウルル&シドニー」に参加されていた、失語症のある二人の女性YさんとKさんが核になって、「次は自分が仲間をこんな旅を通じて応援したい」ということで旅を企画されました。 その旅を応援!

若い失語症者のつどいイン関西(TOMO)

1.旅に込められた思いとTravelforwardとしての応援趣旨

Travelforwardの基本となる事業モデルは、旅行を楽しんだ人が、その旅行距離を原則として1km=1円で換算して寄付を行い、その資金の蓄積を生かして普段旅行が難しい人の旅行が実現するように応援すること」です。端的には、資金支援。Travelforwardは旅行事業者や運送事業者ではないですし、介護・介助の専門職でもありませんので、旅行そのものは企画主体者が存在している必要があり、その旅行ニーズに対して応援を行うということです。

そんなわけで、第2弾は「若い失語症者のつどいイン関西(TOMO)」のお二人が企画者になる形で、白浜への旅。大阪で30名ほどが集合し、チャーターバスで和歌山に向かいました。

応援ツアーの開催とその前後のプロセスや関連する勉強会の開催等も含め、人々の旅を阻んでいる疾病やその他の障がい、困難な事情などへの理解を深めていくこともTravelforwardの活動意義の一つといえます。失語症…。私(古森)自身は、失語症という言葉は知っていましたが、昨年12月のウルル&シドニー行きでYさん・Kさんとご一緒するまでは、その実情は知らずに生きてきたことに気づかされました。

失語症といっても、原因も症状も様々です。ほぼ話せない方、書かれた文字の理解が難しい方、手足の障害もあり杖や車椅子の方もおられます。また、普通に話していても、実は会話のスピードに理解が追いつかなかったり、言いたいことと違う言葉が出てしまったりする場合もあるそうです。一見分かりにくい障がいですので、誤解や偏見を受けることも多く、人と接することに疲れてしまうことも…。そして、同じ症状の仲間たちと集うにしても、様々な事情で時間が限られているとのこと。

そういうことも背景に、今回の旅が企画されたということです。ゆっくり一緒にいて、いろんなことを言葉だけにとらわれず五感で共有したい。障害の程度や有る無しによらず、もっとわかり合いたい…という思い。この活動をしていく中で、私も少しずつそういう思いがわかるようになってきました。まだまだ足りませんが。

ともあれ、そのようなオープンさや気軽さ、絶対時間の共有などを求めて企画されたこの旅。結果的には、失語症関係の皆さまだけでなく、他の疾病等を抱えておられる方々もご縁をたどって参加されていました。また、Travelforwardの文脈で活動するメンバーも、あくまでも個人旅行というスタンスながら、一緒に旅を楽しみつつ「出来ることはやろう!」という思いで旅に参加しました。いろんな立場、いろんな思い、いろんな力を持った人々が集まって、30名ほどのツアーに。

ツアー自体は個人旅行の集積で、各自が旅費を払い、旅行の手配業務は櫻スタートラベルさん。櫻スタートラベルさんは、経営者の櫻井さんご自身が進行性の難病と闘う中で、独自の視線と課題意識でユニバーサル・ツーリズムの道を切り開いておられます。Travelforwardとして特にどの旅行事業者さんと協働するという縛りはないのですが、今の日本で櫻スタートラベルさんを上回る知見を持った事業者さんにまだ出会えていないというのが現状です。

さて、Travelforwardの本務としての資金応援は、旅行の全費用ということではありません。応援対象の選定過程では、きちんとした内規に沿った検討や確認をするグループが形成されておおり、その議論も踏まえて理事メンバーで決裁する厳密なプロセスが存在します。資金応援の対象は、「その旅行に参加される皆さまが障がいなどのバリアを越えて旅行をするために、何が必要か」という視点で検討されます。それを、便宜上「スペシャルニーズ」と呼んでいます。

今回は、主催者の方々ともすりあわせの結果、車椅子の乗降が圧倒的に楽になる「リフト付き大型バス」のチャーターが最も先鋭的なスペシャルニーズであるということがわかり、主としてそのバスのチャーター費用(30万円強)を寄付金のプールから応援させて頂くことになりました。また、派生的な応援ですが、旅の企画運営段階での実務的なお手伝いも必要に応じて理事・渡辺を核とした有志メンバーで対応させていただきました。

2. 旅の様子(1日目)

さて、満を持しての白浜の旅。

関西だけでなく日本各地、そして1名は海外から参加ということで、集合は新大阪駅と難波の2か所に設定されました。バスでピックアップしながら、高速を南下して白浜を目指す行程。途中、紀ノ川SAでランチ休憩をはさんで、まだ十分日の高いうちに白浜に到着。白良浜、千畳敷などの風景を車窓から眺めつつ、宿泊先のSHIRAHAMA KEYTERRACEホテルシーモアへ。ホテルのマネジメントの方々からスタッフの皆さままで、とても丁寧な歓迎をして頂きました。

予定を入れ過ぎない自由な感じが今回の企画趣旨ということで、到着後は自由に。希望者は18時頃からテラスで夕陽を見ながら足湯につかって、特にテーマも何もなく歓談しようということでした。しかし実際はほとんど皆さん来られてましたね。この上ない晴天に恵まれた一日。昼間は暑かったですが、夕陽を眺める頃にはほどよい気温になり、太平洋に沈む荘厳な夕陽に皆でため息をつきました。それぞれの立場で、それぞれに感動するところがあり、しかしその感動の絶対値はみなで共有されていて、なんともいえない幸福感が場に溢れました。涙を流す人もいました。私(古森)もあやうく…(^^;)

夜は、会食。ホテルにご準備いただいた心づくしのお料理。通常の団体客よりも複雑要素や手のかかる要素も想定される場において、ホテルのスタッフの皆さんは本当に快く動いて下さいました。食事困難な仲間には、旅で出会った仲間が自然にサポート。だって一緒に楽しく食べたいじゃない!それだけ…。個々人からの、それぞれの個性がにじみ出た自己紹介。旧交を温めあったり、新たなご縁を広げたりの素晴らしい懇親の時間はあっという間に過ぎていきました。

ご飯のあとは、ホテルのバーで自由参加の2次会。けっこうな人数が三々五々集まってきて、6畳間くらいの大きさの中央テーブルがこの旅の仲間で「占拠」されるほどに(^^;; 真ん中の四角いテーブルを囲んで、お酒を飲んだり話したり。時々ふらっと席を変えて、まだ話したことのない人と話したり。スぺシャルニーズはあるものの、旅の楽しみは人類みな共通。こういう場こそが、人類みな好きなんです。楽しいんです。ただ、それだけ。その喜びをバリアを越えて広げたい…。

そしてなんと、さらなる希望者は私(古森)他2名の宿泊部屋に集って3次会。地元・紀州の梅を使った素晴らしい梅酒を中心にワインなども楽しみながら、さらに語り合いました。身の上話、暴露話、恥ずかしい話、くだらない話、ボケと突っ込み… 楽しい会話が深夜まで続きました。羽目を外すのもまた、旅の楽しみの一つですね。もちろん自由な旅ですので、その時間帯にそれぞれの過ごし方をした人も多々いらっしゃいました。それぞれ、で良いのです。

3. 旅の様子(2日目)

2日目の朝は、「日の出は4時半ですよ~」と前夜に叫んだりもしていましたが、おそらく、その時間に起きることができた人はいなかったのではないかと思います。私(古森)は、同室で重めの障がいをお持ちのSさんの「う~」という声で起こされました。あわててお顔に耳を近づけてお話を聞くと、聞き取るのに30秒ほどかかりましたが、要は「そろそろ起きてよ」ということ(^^;) 「し、失礼しましたっ!」ということで、飛び起きました。

朝ごはんは、ブッフェ形式。インバウンド旅行などもかなり来ているホテルですので、ブッフェの充実はさすがという感じでした。それぞれに起きてきて、それぞれに好きなものをとって仲間と談笑しながら食べる。食事が難しい仲間の介助も、周囲の仲間で自然に。だって、一緒に楽しく食べたいじゃない!朝ごはんを終えて、10時頃にホテルを後にしてアドベンチャー・ワールドへ。ホテルのマネジメントの皆さま、スタッフの皆さまから温かい送り出しをして頂きました。感謝です。

晴天の日曜、園内は混雑気味でしたが、当初思ったよりもバリアフリーな構造で、皆さんそれぞれに楽しんでおられたようです。30名規模の団体で一緒に動くのは難しいため、10名単位のサブグループに分かれて園内を周遊。行く先々でどのみち会うのですが、10名単位にしたことで機動性が確保されました。イルカショー、サファリ列車、パンダ、そして観覧車など、楽しい経験がたくさん。



車椅子で観覧車なんて、そもそも可能なのかどうかさえ分かりませんでしたが、重度の障がいをお持ちのSさんが声をふりしぼって、私(古森)の耳元で「行きたい!」と。その声に押されて、皆でトライしてみたら乗れた!!!という展開です。その姿を見て、他のサブグループの仲間も後に続き、当初の計画にはなかった観覧車利用が実現したのでした。施設スタッフの方々にも親切に応じていただき、温かいものを感じました。

そこに障がいがあろうと、そこにバリアが見えていようと、まずは「やってみたいな」「やってみようか」という心を捨てないで、本当に一歩動いてみる。そのことから開けてくるものがあるんだなぁ…という感慨がありました。そして、一人ではそうした一歩が踏み出せなくても、仲間がいれば勇気をもって動いてみることができる!!!世界全体から見ると小さな一歩なのですが、それぞれの立場からみると大きな一歩。そんな感じでした。

アドベンチャー・ワールドの後は、遅めのお昼ごはんとお土産購入を兼ねて「とれとれ市場」へ。地元の漁協さんが核となって運営されている施設と聞きました。海鮮丼などには長蛇の列…。しかし、鮨や刺身、海鮮かまぼこなどはそれほど並ばずに買うことができました。これも、皆それぞれに欲しいものを注文しつつ、並ぶのが難しい仲間の分は自然に周囲の仲間がサポートして、一緒にご飯を食べました。食後のお土産ハンティングも、それぞれに数名単位でぶらぶらと。

そしていよいよ、バスは帰路へ。高速に乗り、ほとんどの人が爆睡。充実の旅路、一気に疲れが出てきたようです。かくいう私(古森)も寝落ちしてしまい、ちょっと首が痛くなりました。紀ノ川SAで休憩後、バスはほぼ予定通りの時間で難波へ。数名の仲間を下ろし、新大阪へ。障がいのある仲間には、お迎えに来て帰りを待っておられたお身内や介助者の方々のお姿も。充実の旅でしたが、旅は旅。当然リスクもありました。無事にここに帰ってこれたことに感謝!

このご縁は今後もきっと続くとはいえ、いったんの別れを惜しみつつ、皆それぞれに帰るべき日常がある場所へと帰っていきました。

5. 今後へ向けた視点

ということで、Travelforwardとして応援させていただいたツアー第2弾、白浜の旅は無事に終了いたしました。人間同士のご縁の広がりや深まり、そして「人間の可能性」について強く信じることが出来る、素晴らしい2日間を過ごさせていただきました。「これ、本当に2日間だったの?」と思えてきます。

この旅に想いを込めて企画したTOMOの主催者の皆さん、それを旅行業として支えた櫻スタートラベルさん。企画運営のサポートや旅行中の様々な場面で協働したTravelforwardの理事・会員の皆さん。寄付を通じてリフト付きバスの提供を可能にしてくださったTravelforward賛助会員の皆さん。バスの運行やリフト機器の操作で力を尽くしてくださったバス会社の皆さん、本当に素晴らしい心配りをしてくださったホテルシーモアやアドベンチャー・ワールドの皆さん。その他訪問先のスタッフの皆さんなど… 数えきれない良いもの、良いこと、良い心のつながりあいで可能となった旅でした。まずもって、幸運でした。

私(古森)なんぞがこのすべての出来事を「代表」して「ありがとうございました」などと言うのも全くおかしい、的外れで、本当にありとあらゆるご縁や思いや活動や幸運があわさって、奇跡的に成り立ったような旅行でした。私(古森)個人としては今、「より大きな何か」に感謝せずにいられない気持ちです。Travelforwardとしては、達成感、数多くの学び、そして今後へ向けた貴重な振り返りポイントを頂いた旅でもありました。

初回のウルル&シドニー(昨年12月)、今回の白浜と2度の応援ツアー経験を積ませていただく中で、現実を見据えた形での様々な発見や気づき、喜び、そして困難がありました。出来ること、出来ないこと。やりたいこと、やるべきこと、やってはいけないこと。ほんとうに色々とあります。今回参加された方々の事後アンケートのお声も集約しながら、理事会メンバーでここまでの振り返りと今後の課題について集中討議を行い、常に学習して、進んでまいります。

この活動がとてつもなく「良いコト」であるという確信がさらに強くなっており、その持続可能な発展へ向けて意を尽くしていきたいと思います。

全てのご縁に感謝いたします。
有難うございました。

(古森)